根管治療とは
根管治療は、歯の根管の中から「虫歯が進行した歯の神経」「細菌」「古い充填材料」等、これらをファイル(細かい針状の器具)とマイクロスコープを使用し丁寧に除去していく治療法です。
根管治療は歯内療法とも呼ばれ、歯内療法は主に以下3つの治療に分けれられます。
上記のように、歯内療法の一つの治療にあたるのが②根管治療なのですが、上記の3つの治療を一般的には総称して根管治療と呼びます。
②の根管治療にできるだけ移行しないようにする予防的な治療が①の歯髄保存療法、②の根管治療のみではなかなか治らないような場合には③の外科的な歯内療法を行います。
根管治療の成功率について
根管治療はきちんと治療すると本来は成功率の高い治療法です。
成功率
初めての神経の治療 | 90% |
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病変が存在していた場合 | 80% |
神経の再治療 | 60% |
根の形が変形していた場合 | 40~50% |
如何に初期の段階で食い止めるにことによって上記のように成功率は高まります。当院は極力細菌を除去し、最小限の治療で保存できるように努めております。
状況によって成功率は変わりますが、概ね50~90%と様々な研究によって報告されています。
神経を取る治療の場合は成功率も高く90%以上との報告が多いですが、再治療になればなるほど(治療のやり直しになればなるほど)成功率は低くなります。例えば何度も根の治療を繰り返し、根の先端が本来の形を留めていないような場合は50%前後という成功率に下がります。
成功率とは“あくまでも病変の治癒”のみです
ここで患者さんにご理解いただきたいのは、歯内療法での成功率とは「根尖性歯周炎の治癒」を指します。ですので、どれくらい歯が長持ちするかという事とは別になります。
例えば、病変が治癒したとしても、歯が薄くて割れてしまっては、結局は抜歯になってしまう状況もあります。病変以外にも、歯の体積、咬み合わせ等も歯の寿命に影響しますので、歯内療法の成功率90%が、イコール歯の寿命10年につながることとは違いますのでご了承ください。
歯内療法成功後は、例えば被せ物治療を速やかに行うことで、細菌の再侵入や歯が割れるリスクを軽減し、歯をなるべく長く持たせる事こともできます。「歯内療法だけ成功したから」と安心なさらずに主治医の先生とよく話し合い、歯がより長持ちするための適切な治療を受けていただくことをおススメいたします。
こんな人は根管治療
このような状況やお悩みはございませんか。
- 長引く歯の痛み
- 噛むと痛い
- 歯ぐきがおできの様にふくらみ腫れてきている
- 根の治療を何回も繰り返している
- 何度通っても一向に症状が良くならない
- 被せ物を頻繁に交換しても症状が良くならない
- 歯の違和感・痛み
- 歯が黒い・変色(過去に歯をぶつけた)
- 歯根嚢胞(しこんのうほう)と言われた
- 歯根破折と言われた
- もう治療のしようがない、歯を抜くしか無いと言われた
- 他院で抜歯と診断された
- 治療は終わった、と言われたが痛みが取れない
- 痛みや腫れがあるのに様子を見ましょうと言われた
上記に一つでもあてはまる方、お悩みの方はお気軽にご相談ください。
一般的な治療で、なかなか治らない原因
一般的な治療でなかなか治らない原因はいくつかありますが、その原因は大きく分けて主に以下の3つです。
①無菌的な環境になっていない
②ドクターの技術上の問題
③一般的な治療で改善できない原因
①無菌的な環境づくり
虫歯進行における根の病気は「細菌の感染」です。その細菌を極限まで少なくする事が根管治療の大きなポイントです。しかしただ除去とお薬を詰める作業を繰り返したとしてもそれだけでは十分とは言えません。以下の事項をしっかりと守ることが細菌を以下に少なくするかに繋がります。
- 使用する器具機材の十分な減菌、使い捨て等
- ラバーダム防湿による唾液中の細菌を防止
- 歯を削るバーなどの使い捨てによる細菌防止
- 根の中の掃除をするファイルの使い捨てによる細菌防止
- 薬液などによる根の中の細菌の消毒
- 十分な穴の封鎖
…等です。
これらを時間的理由、コスト的な理由で省いたり簡易的に済ませてしまうと、そこで成功率が下がるリスクが高まります。
②治療テクニックのポイント
私たち歯内療法を専門に治療するドクターは主に以下のテクニックに気を付けています。
- 理想的な神経の露出
- 理想的な歯の長さの測定
- 理想的な根の中の掃除
- 見逃しの根管の確認
- 理想的な薬液での洗浄
- 薬剤で根管内の細菌を減少
上記項目は、保険治療ではどうしても制約があり、実現が不十分なことが多いのが現状です。
歯内療法専門医と一般歯科医師の違い
よくお寄せ位いただく内容として、私たち専門医が行う歯内療法は一般の先生と何が違うのかというご質問です。一概には言えませんが、主な具体例は以下です。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)の使用
肉眼と比較し2~20倍に拡大して根管の見逃しを防ぎ、より精密な根管治療を実現できます。しかしそれにはドクターの手技があってこそです。
そのクリニックがマイクロスコープを持っているからといって、専門性の高い根管治療や歯内療法を提供できているかはまた別になります。
歯内療法に関する様々な文献の検討
一般開業医の先生と比較して深い知識を持っています。国内・海外含めた何百冊以上もの英語文献を翻訳して読みという作業を繰り返しています。インプットした知識をアウトプットし、日々の臨床の指摘を受けながら年間の症例をディスカッションするので、診断力や形成・充填などの細かいスキルの研鑽、知識のアップデートをしています。
確実な無菌的処置
ファイルやバーなどの使用する器具器材の滅菌や使い捨て、ラバーダム防湿など治療する歯に対しての無菌的処置を可能な限り確実に行っています。
安全性の高い機具器材の使用
エビデンスに基づいたその時代の潮流の機具器材を十分比較検討し、十分に安全性を確認をした上で治療に使用しています。国内外での文献での知識が豊富になれば、日本国内で一般的・常識的として使っている材料や手技も変わってきます。他の先生やメーカーに言われたから、周りが使っているからこの材料を使う、…ではなく、エビデンスにもとづいて機具や材料を選択するようにしています。
一般的な治療と比較して様々なオプションの保持
例えば、一般的には抜歯と言われるようなケースでも、抜歯の前にご提案できる治療方法を持っています。抜歯をする前に出来る限りのことをご提案し、治療を行う事も可能です。
十分な治療時間の確保
治療時間は1回に60~90分、通常1~3回の通院で治療の終了が可能です。
③一般的な治療で改善できない原因
こちらは「保険治療との違い」のページ内、「なかなか治らない原因」の項目をご覧ください。
外科的歯内療法
一般的な治療で改善できない場合は外科的歯内療法を行います。
外科的歯内療法については、こちらをご覧ください。
根の専門ドクターとしての使命感
日本の治療法とは違う世界基準の歯内療法
根の勉強をし始めた当初は、今までの日本の治療法の常識を覆され、世界的に見るとそれが全く外れたところで治療を行っていることに気付きました。以来、アメリカ・ペンシルバニア大学の歯内療法のコンセプトを深く学び、それに沿って治療をすると面白いように治り結果が出てきたことを昨日のことのように憶えています。
他の歯医者さんで「抜歯しなければいけないです」と言われたような場合でも、症例により残せるケースもたくさんあり、患者さんにお礼を言われ満足されている表情が何より励みになりました。
今現在は日本の歯医者さんたちにも歯内療法の重要なポイントを知ってもらえるように啓蒙活動していきたいのと、患者さんたちに対しても「保存できる歯もあるんだ」というオプションを知っていただければと思っています。
「できるだけ歯を保存していく」ということを軸に歯の根の専門ドクターとしてこれからも使命感を持って取り組んでいます。
実際に詳しい診査診断をしてみないと歯が残せるかどうかは分かりませんが、当院をはじめとする歯内療法専門ドクターへの受診が、患者さんの歯をより多く残せるキッカケになってくれれば嬉しく思います。
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〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-20-14
森川コロニービル2F
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