根管治療では十分に清掃できなかった部分(根の先)を切断して感染除去し、その切断面に特殊なセメントを詰めて根管内の感染を遮断する治療方法です。
今までの歯根端切除術では成功率が40~60%と決して高いとは言えない方法ではありましたが、現在のマイクロスコープを併用した外科的歯内療法では飛躍的に治療の精度が高まり、90%以上の成功率が報告されています。
※ここでいう治療の成功率とは、根尖病変の治癒を指します。ですので、どれくらい歯が長持ちするかという事とは別になります。
歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)
根っこの先を3ミリほど除去し歯を保存する治療法です。歯根端切除には歯内療法ドクターと歯科口腔外科ドクターが行う2つの方法があり、違いがあります。
歯内療法ドクターが行う歯根端切除術は必ずマイクロスコープ下で行います。術式の流れとしては…
- 骨に3~4mm程度の穴を空けます
- 歯根の先をマイクロスコープで見ながら3mm程度歯根を切除します
- 切除後は特殊な染め出し液で切断面を染め出し、マイクロミラーを使って染め出された感染源を確認します
- 超音波チップを使用して逆根管形成を行ない汚れを除去します
- 逆根管充填という方法で根管にMTAを詰め、細菌の出口を封鎖します
上記の方式で感染源をシャットアウトします。この流れを必ず行っています。
昔は超音波チップではなく、大きいバーのようなもので逆根管形成をしていたので、大きく歯根を削らざるを得なかったのですが、現在では専用の超音波チップによって形成することができるので、根管の形を変えることなく保存的に形成することができます。
これにより従来の歯根端切除術に比べて95%まで成功率が上がりました。一般的な口腔外科の歯根端切除よりも侵襲が少なく患者さんの負担も軽減されます。治療時間は歯の本数にもよりますが、1回のチェアタイムは2時間くらいを見ておいてください。
部位によっては歯根端切除ができないことがあります
上下7番目の奥歯、下顎の5番目の小臼歯でオトガイ孔(下顎神経)に近い場合など、歯の部位によっては歯根端切除ができないことがあります。
その場合は意図的再植法があります。
ルートアンプテーション
ルートアンプテーションは、歯根端切除術の延長で歯根を短く切ってしまう方法です。歯根部分のみを切り取り、歯冠部分は元の形態を保ちます。適応症は歯根の複数ある大臼歯です。
意図的再植術(いとてきさいしょくじゅつ)
精密な根管治療を行ったにもかかわらず、根管治療では治らなかった場合に行います。そのような場合、歯を1回抜歯して、その場で根の先を切除しお薬を詰めて元の場所に埋めいれる方法が意図的再植術です。
歯根の周囲に付着している歯根膜は乾燥すると細胞が死んでしまい、再植時の成功率が下がってしまうため、抜歯してから17分程度でスピーディに行う必要性があります。また、歯根膜を傷つけないように抜歯処置には時間をかけます。
このように意図的再植は非常に注意深く行う必要があるため、専門的知識を持った歯内療法専門医が適切な治療環境で行うことが成功する鍵であり、専門医が行なった場合の成功率は約80%程度と言われております。
この治療の主な対象歯は7番目の大臼歯や下の5番目の小臼歯であり、歯の根の形態が複雑な場合には抜歯がスムーズに行えなかったり、抜歯の際に歯が割れてしまう可能性がありますので適応となりません。
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