根管治療では、いわゆるお掃除をするときに使う器具「ファイル」が折れることがります。破折ファイルの事例については、インターネットで多くの先生方がレントゲン写真を掲載しています。
根管内に破折して残ったファイルは、折った先生自身が気づいていないこともありますし、何回も根管治療を受けている患者さんに聞いても、どの時期にどこの医院・誰の先生が折ったか、等の状況は憶えていらっしゃらないことがほとんどです。
ファイル自体は金属の細い物ですので、力がかかるとどうしても疲労破折することがあります。不可抗力で仕方がないという意見もありますが、もしドクターが折った場合は患者さんにキチンと説明しなければいけませんし、当然、発見した場合にもご説明しております。
レントゲンで破折ファイルの可能性、疑いがあると写っていた場合でも、実際には出してみないと分からないこともあります。
破折ファイルは必ず除去しなければならない?
また、本当に破折したファイルを除去しなければならないのか?も大きなポイントとなります。これは議論が分かれます。
破折ファイルを除去するには少なからず歯を削る必要があります。もちろん容易に取れる場合は取ったほうがいいですが、無理して取らなければいけない場合、歯根の破折のリスクも高まります。
当院の歯内療法における破折ファイルの考え方ですが「取る必要がなければ取らなくてよい」です。ファイル自体が無菌状態であれば、ファイルが破折して歯根に残ったとしても、それが原因で根の病気が進行することはありません。
除去するケース
- 破折ファイルを発見した場合、まずこのファイルはキレイな状態か?を考慮
- 破折ファイルの場所の先に病変があり、根の清掃時に邪魔になる場合
- 上記で、かつ除去可能な場所にある場合
除去しないケース
- その破折ファイルを除去することで、歯の寿命を縮めるリスクが高まる場合
- 再治療時に外科的な処置も将来的な視野に入れる場合(あえて上から取る必要はあない)
文献によれば、破折ファイルを除去せずに根管治療を行ったとしても、おおよそ6割が治っているというデータもあります。歯を削らずに治る可能性が6割もあるので、まずは除去せずにアプローチする方法も十分に考えらえます。
ですので、患者さんの歯を考慮して「何が何でも歯を削って破折ファイルを除去する」という考え方は当院にはありません。
⇒関連:ニッケルチタンファイル
破折ファイルが写っていた、という状況でご相談を希望される患者さま、先生方はお気軽にお問い合わせいただければと思います。
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